COBOLモダナイゼーションのコスト見積もりとROI(投資対効果)を徹底解説!
生徒
「先生、古いCOBOLのシステムを最新にするのって、すごくお金がかかりそうですよね。会社を説得するにはどうしたらいいんでしょうか?」
先生
「そうですね、目先の金額だけを見ると大きな出費に思えます。でも、そのまま使い続ける『リスク』と、新しくした後の『お得感』を計算することが大切なんですよ。」
生徒
「『お得感』ですか!それを専門用語でROI(投資対効果)って言うんですね。具体的な見積もりの考え方を知りたいです!」
先生
「予算を立てる時のポイントや、将来どれくらいプラスになるのか、一緒にシミュレーションしてみましょう!」
1. コスト見積もりの考え方とは?
コスト見積もり(こすとみつもり)とは、プロジェクトを完了させるために「全部でいくらお金が必要か」を事前に計算することです。
COBOLのモダナイゼーション(システムの近代化)では、単にプログラムを書き換える費用だけでなく、目に見えにくい様々な費用が発生します。 パソコンを触ったことがない方への例えとして、「古い一軒家のリフォーム」を想像してください。 大工さんの手間賃(開発費)だけでなく、工事中の仮住まい費用(検証環境の維持費)や、新しい家電の買い替え(新しいサーバー代)なども含めて予算を立てる必要があります。
見積もりを出す際には、以下の「3つの大きな袋」に分けて考えると整理しやすくなります。
- 初期投資(イニシャルコスト): 移行作業そのものにかかるお金。
- 運用費用(ランニングコスト): 作った後に、毎月・毎年払い続けるお金。
- リスク費用: トラブルが起きた時のための予備のお金。
2. 見積もりに含まれる主な内訳
具体的にどのような項目にお金がかかるのか、主なものを挙げてみましょう。
| 項目名 | 内容(初心者向け解説) |
|---|---|
| 現状分析費 | 今の古いシステムがどうなっているか、探偵のように調べる費用。 |
| 変換・開発費 | COBOLを新しい言葉に翻訳したり、クラウド用に作り直したりする職人さんの人件費。 |
| テスト・検証費 | 新旧のシステムで計算結果が1円もズレていないか、何度も確認する作業代。 |
| ライセンス料 | 新しいソフトやツールを使うために、メーカーに払う「使用料」。 |
| 教育トレーニング費 | 社員が新しいシステムの操作に慣れるための勉強会の費用。 |
3. ROI(投資対効果)の考え方
ROI(アール・オー・アイ)とは「投資したお金に対して、どれくらい利益が出たか」を表す指標です。 日本語では投資対効果(とうしたいこうか)と言います。
例えば、1億円かけてシステムを新しくしたとします。その結果、毎年の維持費が3,000万円安くなったとしたら、約3年ちょっとで元が取れる計算になります。 この「元が取れる」という感覚が、会社の上層部を説得する際にとても重要になります。
ROIを計算する公式
基本的には以下の数式で考えますが、難しく考える必要はありません。
要するに、「出したお金より、後で返ってくるメリットの方が大きいか?」をチェックする指標です。
4. 「見えないコスト」と「見えない利益」
お金として計算しやすいもの以外にも、無視できない要素があります。
見えないコスト:維持し続けるリスク
「今は動いているから、何もしないのが一番安い」と考えるのは危険です。 古いメインフレーム(巨大なコンピュータ)の部品がなくなったり、COBOLがわかるベテラン技術者がいなくなったりすると、故障した時に会社全体の業務が止まってしまい、数億円の損害が出るかもしれません。これを「現状維持のリスクコスト」と呼びます。
見えない利益:ビジネスのスピードアップ
新しいシステム(クラウドなど)に移行すると、新機能を追加するのがとても速くなります。 「新しいサービスをすぐに始められる」「スマートフォンのアプリとすぐに連携できる」といった、売上を伸ばすためのチャンスを逃さないことが、大きな利益に繋がります。
5. コストを抑えるためのプログラム的な工夫
プロジェクトマネージャーは、無駄な書き換えを減らすことでコストを抑えます。 例えば、以下のように「本当に必要な条件」だけを整理することが見積もりを下げるコツです。
* すべてを移行すると高くなるため、不要な処理を特定する
IF STATUS-CODE = "DELETED"
* 古いデータの削除済み処理は移行対象外にする
CONTINUE
ELSE
* 今も使っている大切な処理だけをクラウドへ移す
PERFORM MAIN-PROCESS
END-IF.
このように、プログラムの棚卸し(たなおろし)をしっかり行うことで、移行するボリュームを減らし、見積もり金額を適正に保つことができます。
6. 知っておきたい重要単語集
予算会議などでよく使われる言葉を整理しました。
- TCO(ティー・シー・オー)
- 総保有コスト。買う時のお金だけでなく、捨てるときまでにかかる全費用のこと。
- オンプレミス
- 自社の中にコンピュータを置いて管理すること。維持費が高くなりやすい傾向にあります。
- クラウド移行
- インターネット上の共用サーバーを借りること。初期費用を抑えやすいのが特徴です。
- 資産査定(アセスメント)
- 今のシステムにどれくらいの価値があり、どれくらい古いかを正しく評価すること。
7. 成功する見積もりの進め方
最初から完璧な1円単位の見積もりを出すのは不可能です。 まずは「概算見積もり(ざっくりとした計算)」を行い、方向性が決まったら詳細を調査するのが一般的です。
- 範囲を決める: どのシステムをどこまで直すか決める。
- 優先順位をつける: 大切なところから少しずつ新しくする(段階的移行)。
- 複数の会社に聞く: 専門の会社に見積もりを依頼して比較する。
しっかりとしたROIの根拠があれば、会社も「これは将来のための投資だ」と納得してプロジェクトを応援してくれるようになります。