COBOLを最新環境へ!モダナイゼーションツール(Micro Focusなど)の活用ガイド
生徒
「先生、会社の古いCOBOLプログラムを最新のクラウドで動かしたいのですが、手作業で全部書き直すのは気が遠くなる作業ですよね?」
先生
「その通りです。そこで登場するのが『モダナイゼーションツール』です。これを使うと、古いプログラムを活かしたまま、最新の環境へ引っ越しさせることができるんですよ。」
生徒
「Micro Focus(マイクロフォーカス)という名前をよく聞きますが、それはどんな道具なんですか?」
先生
「Micro Focusは、COBOLの世界で最も有名なツールのひとつです。古い資産を最新の技術に変える『魔法の翻訳機』のようなものですね。詳しく見ていきましょう!」
1. モダナイゼーションツールとは?
モダナイゼーションツールとは、数十年前から使われている古いコンピュータ(メインフレーム)用のプログラムを、現代のWindowsやLinux、さらにはクラウド環境などで動かせるように変換・管理するためのソフトウェアのことです。
プログラミング未経験の方に例えると、「カセットテープに録音された大切な音楽を、音質はそのままにスマートフォンで聴けるデジタル形式に変換する機械」のようなものです。 中身の大切なデータ(ビジネスロジック)は変えずに、再生する機械(実行環境)を新しくするのがこのツールの役割です。
なぜツールが必要なのでしょうか。それは、大規模なプログラムを手作業で最新のJava(ジャバ)などに書き換えると、膨大なコストがかかるだけでなく、計算ミスなどの「バグ」が発生するリスクが非常に高いからです。ツールを使うことで、安全かつスピーディーにシステムを若返らせることができます。
2. Micro Focus(マイクロフォーカス)の役割
COBOLのモダナイゼーションにおいて、世界的なシェアを誇るのがMicro Focus(現在はOpenText社の一部)の製品群です。 彼らが提供するツールは、主に以下の3つの役割を果たします。
翻訳(コンパイル)
古いコンピュータ専用の言葉を、最新のパソコンやサーバーが理解できる言葉に翻訳します。
開発環境の提供
Visual StudioやEclipseといった、現代のプログラマーが使い慣れた道具でCOBOLを編集できるようにします。
実行エンジンの提供
クラウド上などでCOBOLを安定して動かすための「土台」となります。
3. ツールの主な機能:リホストとリフェイス
モダナイゼーションツールができることの中でも、特に重要な2つの手法を解説します。
① リホスト(Re-host)
プログラムの中身は一切変えずに、動かす場所だけを「メインフレーム」から「オープン環境(Windowsやクラウド)」に移すことです。 引っ越しで例えると、「中身の家具(プログラム)はそのままに、家(コンピュータ)だけ新築に住み替える」イメージです。 これにより、高い維持費がかかる古い大型コンピュータを廃止でき、コスト削減に繋がります。
② リフェイス(Re-face)
古い文字だけの黒い画面を、Webブラウザで見られる綺麗な画面に作り変えることです。 「中身の機能はそのままで、見た目のお化粧だけを最新にする」ので、操作性が劇的に向上します。
4. ツールを使った開発のイメージ
モダナイゼーションツール(Visual COBOLなど)を使うと、現代のプログラミングと同じ感覚でCOBOLを扱えます。 例えば、最新の環境で動くように設定したCOBOLの書き方は以下のようになります。
IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. MODERN-COBOL.
* 最新ツールなら.NETやJavaと連携する設定も簡単
PROCEDURE DIVISION.
MAIN-LOGIC.
DISPLAY "最新のクラウド環境で動いています!"
STOP RUN.
実行結果も、最新のコマンドプロンプトやWebサーバー上で確認できます。
最新のクラウド環境で動いています!
5. 初心者が知っておきたい重要用語解説
モダナイゼーションツールを語る上で避けて通れない単語を整理しました。
- メインフレーム
- 銀行などで使われる超巨大な専用コンピュータ。維持費が非常に高いのが悩み。
- オープン環境
- WindowsやLinuxなど、一般的に広く普及しているコンピュータ環境のこと。
- クラウド
- インターネット経由で使えるコンピュータ。Amazon(AWS)やMicrosoft(Azure)などが有名。
- コンパイラ
- 人間が書いたプログラムを、コンピュータが理解できる「0と1」の電気信号に変換するプログラム。
- デバッグ
- プログラムの間違い(バグ)を見つけて修正すること。最新ツールはこの機能がとても強力です。
6. モダナイゼーションツールを使うメリット
単に新しくするだけでなく、ビジネスにおいて以下のような利点があります。
運用コストの削減
高額なメインフレームのレンタル料や電気代を抑え、安価なクラウドへ移行できます。
開発速度の向上
最新のパソコンで開発できるため、修正やテストが従来の数倍速くなります。
セキュリティ強化
最新のセキュリティ技術をCOBOLシステムに組み込むことが可能になります。
7. 移行プロジェクトの進め方:ツールの役割
ツールを使ってシステムを新しくするプロジェクト(移行プロジェクト)は、通常以下のようなステップで進みます。
- 棚卸し(たなおろし): どのプログラムが動いているかをツールで自動分析します。
- 変換: 古い方言のCOBOLを、最新の標準的なCOBOLへツールが変換します。
- テスト: 変換前と後で、計算結果が1円も違わないかを厳密にチェックします。最新ツールはこの「比較テスト」を自動で行ってくれます。
このように、モダナイゼーションツールは「過去の財産」を「未来の武器」に変えるための欠かせないパートナーなのです。
8. まとめ:賢いツール選びが成功の鍵
COBOL資産のモダナイゼーションは、企業にとって非常に大きな挑戦です。 Micro Focusをはじめとする優れたツールを活用することで、長年蓄積されたビジネスの知恵を守りながら、最新のIT社会へと適応させることができます。
未経験の方であっても、「古いものを全部捨てるのではなく、ツールという通訳を使って新しい場所へ連れて行く」というイメージを持っていただければ、モダナイゼーションの本質が見えてくるはずです。
デジタル社会の基盤を支えるCOBOL。その新たな一歩を、最新のモダナイゼーションツールが支えています。