COBOL資産を脅威から守る!レガシーシステムのセキュリティ強化と脆弱性対策
生徒
「先生、何十年も前に作られたCOBOLのシステムって、最新のサイバー攻撃を受けても大丈夫なんですか?」
先生
「実は、そこが今大きな課題になっているんです。昔は『外部と繋がっていないから安全』と言われていましたが、今はインターネットに繋がる機会が増え、古いシステム特有の弱点を狙われる危険があるんですよ。」
生徒
「レガシー資産にもセキュリティ対策が必要なんですね。具体的にどうやって守ればいいんでしょうか?」
先生
「大切なデータを守るための守備固めが必要です。その基本となる考え方と、具体的な対策方法を分かりやすく解説しましょう!」
1. レガシー資産のセキュリティリスクとは?
レガシー資産(レガシーシステム)とは、長年使い続けられてきた古いコンピュータやプログラムのことです。 プログラミング未経験の方に例えると、「頑丈だけれど、鍵の種類が古くなってしまった金庫」のようなものです。
昔は、会社の建物の中にある専用のコンピュータだけで動かしていたので、泥棒(ハッカー)が入り込む隙間はありませんでした。 しかし、最近では「スマートフォンから銀行残高を見たい」「外出先から在庫を確認したい」といった要望に応えるため、この古い金庫をインターネットという公道に繋げる必要が出てきました。
すると、昔の設計では想定していなかった脆弱性(ぜいじゃくせい)、つまり「防犯上の弱点」が見つかるようになったのです。
2. 知っておきたい重要用語:脆弱性(ぜいじゃくせい)
ITの世界でよく使われる脆弱性とは、プログラムの不具合や設計上のミスによって生まれた、セキュリティ上の「穴」のことです。 悪意のある人は、この穴を突いてシステムに侵入したり、大切な情報を盗み出したりします。
特にCOBOLのような古いシステムでは、以下のようなリスクが指摘されています。
- 認証の甘さ: パスワードの桁数が短かったり、本人確認の仕組みが単純だったりすること。
- 古い通信プロトコル: データを送る際の暗号化が弱く、途中で内容を盗み見られてしまうこと。
- サポート切れ: コンピュータの部品やOS(基本ソフト)が古くなり、修理や防犯アップデートができなくなること。
3. セキュリティ強化の基本アプローチ
古いCOBOLプログラムそのものをすべて書き換えるのは大変です。そこで、現代のセキュリティ対策では「多層防御(たそうぼうぎょ)」という考え方をとります。
① 境界線でのブロック(ファイアウォール)
インターネットと古いシステムの間に「関所(防火壁)」を設けます。怪しい通信はここでシャットアウトし、許可された人だけを通すようにします。
② 通信の暗号化(SSL/TLS)
データを送る際に、中身をぐちゃぐちゃに混ぜて「解読不能」にします。 万が一、通信の内容を盗まれたとしても、犯人には中身が何であるか分からないようにする技術です。
③ 踏み台(中継サーバー)の設置
直接COBOLシステムを外に晒すのではなく、最新の防犯機能を備えた「受付用サーバー」を間に置きます。 ここでしっかり本人確認を行ってから、安全な方法で後ろにある古いシステムへデータを繋ぎます。
4. 実際のCOBOLコードでのセキュリティ意識
プログラムを書く際も、少しの工夫で安全性を高めることができます。 例えば、入力された文字が「想定通りの長さや種類か」をチェックすることは、攻撃を防ぐ第一歩です。
* 入力されたデータが不正に長くないかチェックする例
IF IN-ID-LENGTH > 10 THEN
DISPLAY "エラー:IDが長すぎます。"
PERFORM ERROR-EXIT
END-IF.
* 数字だけが入るべき場所に文字が入っていないか確認
IF IN-PRICE NOT NUMERIC THEN
DISPLAY "エラー:数字を入力してください。"
PERFORM ERROR-EXIT
END-IF.
このように、プログラムの入り口で「おかしなデータ」を追い出すことを入力値検証(バリデーション)と呼びます。 パソコンを触ったことがない方でも、「玄関で怪しい人を通さないようにチェックする」のと同じだと考えれば分かりやすいでしょう。
5. 運用の改善:ログ管理と監視
「誰が」「いつ」「何をしたか」を記録することをログをとると言います。 万が一、事件が起きてしまったときに、犯人がどこから入って何をしたのかを突き止めるための重要な証拠になります。
古いシステムではこの記録機能が不足していることが多いため、モダナイゼーション(近代化)の一環として、最新の監視ツールを導入し、24時間体制で不審な動きがないかを見守る仕組みを作ります。
アクセスログ
誰がシステムを開いたかの記録。不正な侵入を早期に発見するために不可欠です。
リアルタイム監視
普段と違う大量のアクセスなど、「いつもと違う動き」をAIが検知して知らせてくれます。
6. 脆弱性対応のスケジュールと優先順位
世の中には毎日新しい「攻撃の手口」が生まれています。 そのため、一度対策したら終わりではなく、定期的にシステムの健康診断(脆弱性診断)を行うことが重要です。
特に優先すべきは、「お金に関わるデータ」や「個人情報」を扱っている部分です。 リスクの高い場所から順番に、最新の防犯技術を適用していくのが、賢いレガシー資産の守り方です。
7. まとめ:古い資産を「安全な宝物」として使い続ける
COBOLシステムは、長年の業務ノウハウが詰まった貴重な資産です。 「古いから危険」と決めつけて捨てるのではなく、最新のセキュリティという「鎧」を着せることで、これからも長く、安全に使い続けることができます。
脆弱性対策は、単なるコストではなく、企業の信頼を守るための投資です。 正しい知識を持ってセキュリティを強化し、レガシー資産を現代のビジネス環境で最大限に活かしていきましょう。