カテゴリ: COBOL 更新日: 2026/02/20

COBOL資産を次世代へ!業務知識のドキュメント化と人材育成の成功戦略

既存業務知識のドキュメント化と人材育成
既存業務知識のドキュメント化と人材育成

先生と生徒の会話形式で理解しよう

生徒

「先生、会社で昔から動いているCOBOLのプログラムがあるのですが、中身がどうなっているか誰も詳しく知らないんです。これって危ないですよね?」

先生

「それは『ブラックボックス化』といって、多くの企業が抱える深刻な悩みです。作った人が退職してしまうと、誰も修理できなくなってしまいます。」

生徒

「どうすればいいんでしょうか?今からでも中身を書き残したり、新しい人に教えたりすることはできますか?」

先生

「もちろんです!それを『ドキュメント化』と『人材育成』と呼びます。未来に宝物を引き継ぐための大切なステップを、分かりやすく解説しますね。」

1. 既存業務知識のドキュメント化とは?

1. 既存業務知識のドキュメント化とは?
1. 既存業務知識のドキュメント化とは?

ドキュメント化(どきゅめんと・か)とは、コンピュータの中に隠れている「仕事のルール」を、人間が読んで分かるように書類や図に書き起こすことです。

パソコンに触ったことがない方への例えとして、「おばあちゃんだけが知っている秘伝のレシピ」を想像してください。 おばあちゃんの頭の中にしかないままだと、いつかその味は失われてしまいます。 分量や手順をノートに書き留めることで、誰でも同じ味を再現できるようになりますよね。

COBOLのプログラムも同じです。 「なぜこの計算をしているのか」「この数字は何を意味しているのか」という業務知識を言葉にして残すことが、システムを長持ちさせる第一歩なのです。

2. なぜドキュメント化が必要なのか?(2025年の崖問題)

2. なぜドキュメント化が必要なのか?(2025年の崖問題)
2. なぜドキュメント化が必要なのか?(2025年の崖問題)

今、日本のIT業界では「2025年の崖」という言葉が話題になっています。 これは、古いシステム(レガシー資産)を使っている企業が、中身を理解しているエンジニアの定年退職によって、トラブルに対応できなくなるリスクを指しています。

ドキュメントがないと、以下のような困ったことが起きます。

  • 修理ができない: どこか一箇所を直しただけで、思わぬ場所が壊れてしまう。
  • 法律に対応できない: 消費税が変わったときなど、計算ルールを変えるのに膨大な時間がかかる。
  • 新しい技術が使えない: クラウドやAIを使いたくても、今の仕組みが分からないので繋げられない。

3. 効率的なドキュメント化のステップ

3. 効率的なドキュメント化のステップ
3. 効率的なドキュメント化のステップ

ただ「全部書いて」と言われても途方に暮れてしまいます。 効果的なドキュメント化には、最新のツールを使ったリバースエンジニアリングという手法が便利です。

① プログラムからの自動解析

「リバースエンジニアリング」とは、完成品(プログラム)をバラバラにして設計図を復元することです。 最近では、COBOLのコードを読み込んで、自動で図解してくれるツールがあります。

② 業務フロー(仕事の流れ)の整理

プログラムが何をしているかだけでなく、「そもそもこの仕事は何のためにあるのか」という流れを図にします。

③ 辞書の作成

プログラムの中で使われている「名前」が何を指すのかをまとめます。 例えば、UR-KIN という名前が「売上金額」を指している、といった翻訳表を作る作業です。

4. 人材育成のポイント:若手にCOBOLを教える方法

4. 人材育成のポイント:若手にCOBOLを教える方法
4. 人材育成のポイント:若手にCOBOLを教える方法

ドキュメントができたら、次はそれを扱える「人」を育てる必要があります。 人材育成(じんざいいくせい)の成功のカギは、COBOLを「古臭いもの」ではなく「大切な資産」として捉え直すことです。

現代の道具で教える

昔ながらの黒い画面(エミュレータ)ではなく、若手が使い慣れた「Visual Studio Code」などの最新ツールを使って教えてみましょう。 これだけで「難しそう」という心理的ハードルが下がります。

ペアプログラミング

ベテランと若手が二人一組で作業します。 単に書き方を教えるだけでなく、「昔はなぜこう書いたのか」という背景知識(暗黙知)を会話の中で伝えていくのが効果的です。

5. 学習に役立つCOBOLプログラムの読み方

5. 学習に役立つCOBOLプログラムの読み方
5. 学習に役立つCOBOLプログラムの読み方

ドキュメント化をする際、初心者が最初に注目すべきは「見出し(DIVISION)」の構成です。 COBOLは英語に近い構造をしているので、役割がはっきりしています。


*--- このプログラムの自己紹介を書く場所 ---
       IDENTIFICATION DIVISION.
       PROGRAM-ID. SALES-CALC.

*--- データの入れ物を定義する場所(ここを辞書にする) ---
       DATA DIVISION.
       WORKING-STORAGE SECTION.
       01 SALES-AMOUNT PIC 9(09). *> 売上金額
       01 TAX-RATE     PIC V99 VALUE .10. *> 消費税率(10%)

*--- 実際の計算手順を書く場所(ここを業務フローにする) ---
       PROCEDURE DIVISION.
           MULTIPLY SALES-AMOUNT BY TAX-RATE GIVING TAX-AMOUNT
           DISPLAY "消費税額は:" TAX-AMOUNT "です。"
           STOP RUN.

このようにプログラムに注釈(コメント)を入れながら、ドキュメントとして整理していく練習をしましょう。

6. 難しい用語のやさしい解説

6. 難しい用語のやさしい解説
6. 難しい用語のやさしい解説

知っておくと自慢できる、ITの難しい言葉をまとめました。

レガシー資産
長年使い続けられてきた古いシステムのこと。否定的な意味だけでなく「価値ある遺産」という意味もあります。
ブラックボックス
中身がどうなっているか見えず、外側からしか動かせない状態のこと。
ナレッジシェア
持っている知識(ナレッジ)を、自分一人で抱え込まずにみんなで共有(シェア)すること。
モダナイゼーション
古い仕組みを、最新の技術(クラウドやスマホ対応など)で作り直すこと。

7. 知識を未来へつなぐコミュニティの形成

7. 知識を未来へつなぐコミュニティの形成
7. 知識を未来へつなぐコミュニティの形成

ドキュメント化や人材育成は、一度やって終わりではありません。 新しい気づきがあったら常に情報を更新し続ける「社内Wiki」のような仕組みを作ることが理想です。

また、ベテラン層が「先生」として若手を褒め、若手が「新しい視点(自動化など)」をベテランに提案する。 そんなお互いをリスペクトする文化があれば、COBOLの知識は決して風化することはありません。

ドキュメントは「過去の記録」ではなく、「未来への地図」です。 その地図を頼りに、若い世代が自信を持ってレガシー資産を運用できるようになれば、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)は必ず成功します。

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