COBOLのリグレッションテスト(修正後の再テスト)完全ガイド!初心者にもわかる重要性と実践方法
生徒
「プログラムのバグを直したあとって、また全部テストする必要があるんですか?」
先生
「はい、それが『リグレッションテスト』という大事な作業なんです。修正したところだけでなく、他の部分もちゃんと動いているか確認するんですよ。」
生徒
「えっ、直したのにまた全部チェックするんですか?ちょっと面倒そうですね…」
先生
「確かに手間はかかりますが、直したつもりが別の場所に悪影響を与えてしまうことはよくあるんです。今日はその理由と、効率よくテストする方法を解説しますね!」
1. リグレッションテストとは?
リグレッションテストとは、プログラムの修正や機能追加を行ったあとに、修正した部分だけでなく、他の機能も含めて再度動作確認するテストのことです。「リグレッション(Regression)」は英語で「後退」や「逆戻り」という意味があり、修正によって以前動いていた機能が動かなくなる「逆戻り」を防ぐための作業です。
たとえるなら、家の一部をリフォームしたときに、その部分だけでなく家全体の電気や水道がちゃんと動くか確認するようなものです。特にCOBOLのような業務システムでは、一箇所の変更が広い範囲に影響することが多く、リグレッションテストは欠かせません。
2. なぜリグレッションテストが必要なのか
初心者の方がよく誤解するのは「修正した部分だけテストすれば十分」という考えです。実際には、プログラムはさまざまな部分がつながって動いており、ある箇所を直すと他の箇所にも影響が出る可能性があります。
例えば、売上金額を計算する処理を修正した場合、請求書の作成や在庫管理の処理にも間接的に影響するかもしれません。もしリグレッションテストを行わなければ、後から「在庫が合わない」「請求書が間違っている」というトラブルになる可能性があります。
3. COBOLでのリグレッションテストの実践方法
COBOLでは、リグレッションテストを行う際にDISPLAY文などを活用して、各処理の結果や変数の値を確認すると効果的です。また、テストデータを事前に用意しておくと、修正前後の結果を簡単に比較できます。
MOVE 500 TO SALES
MOVE 20 TO TAX
ADD SALES TO TAX GIVING TOTAL
DISPLAY "売上金額: " SALES
DISPLAY "税額: " TAX
DISPLAY "合計金額: " TOTAL
このように表示しておくと、修正後に以前の結果と照らし合わせて、正しいかどうかを確認できます。
4. 効率的なリグレッションテストのコツ
- テストケースの記録を残す:以前のテストで使ったデータや期待する結果を記録しておくと、再テストが簡単になります。
- 自動化できる部分は自動化する:GnuCOBOLなどの環境ではスクリプトを使ってテストを自動実行できます。
- 優先順位をつける:影響範囲が大きい部分や重要な機能からテストすることで効率が上がります。
5. 初心者がやりがちな失敗と対策
- 修正した部分しかテストしない → 必ず全体の動作も確認する
- テストデータが偏っている → 正常なデータと異常なデータの両方を試す
- テスト結果を記録しない → 比較のために必ず記録を残す
6. リグレッションテストの実行例
例えば、年齢判定の処理を修正したあと、成人と未成年の両方のケースを試すことで、以前の機能が壊れていないか確認できます。
MOVE 18 TO AGE
IF AGE >= 20 THEN
DISPLAY "成人"
ELSE
DISPLAY "未成年"
END-IF
未成年
次に別のテストデータ(例えば25歳)を使って結果を比較し、正しく動くことを確認します。
MOVE 25 TO AGE
IF AGE >= 20 THEN
DISPLAY "成人"
ELSE
DISPLAY "未成年"
END-IF
成人
7. リグレッションテストを習慣化するメリット
リグレッションテストを習慣化すると、修正後の不具合発生率を大幅に下げられます。また、安心して機能追加や修正ができるようになり、開発スピードも向上します。特にCOBOLのような長く使われるシステムでは、この習慣が将来のトラブルを防ぐ大きな武器になります。