COBOLとJava・.NETが共演!段階的モダナイゼーションでシステムを最新化する方法
生徒
「先生、会社の大事なCOBOLプログラムをJavaや.NETという最新の言葉に書き換えたいのですが、一気に全部作り直すのはリスクが高いと言われました。」
先生
「そうですね。巨大なシステムを一度に作り直すのは、動いている飛行機のエンジンを空中で交換するようなものです。非常に危険を伴います。」
生徒
「じゃあ、どうすれば安全に最新化できるんですか?」
先生
「そこで登場するのが『段階的モダナイゼーション』です。古いCOBOLと新しいJava・.NETを連携させながら、少しずつ中身を入れ替えていく方法を学びましょう!」
1. 段階的モダナイゼーションとは?
段階的モダナイゼーション(だんかいてきもだないぜーしょん)とは、古くなった「レガシーシステム」を一度に全部壊して作り直すのではなく、優先順位の高い部分から少しずつ新しい技術に置き換えていく手法のことです。
パソコンを触ったことがない方への例えとして、「老舗旅館の改修工事」をイメージしてください。 営業を一切休まずに、今月はロビーを新しくし、来月は客室をリフォームし、その次の月は厨房を最新設備にする……。 このように、旅館としての機能を維持したまま、最終的に建物全体を最新のホテルに生まれ変わらせるのが、段階的な移行の考え方です。
2. Javaや.NETと連携させる理由
なぜCOBOLをJava(ジャバ)や.NET(ドットネット)に書き換えたいのでしょうか。 それは、今の時代に求められる「スマホアプリとの連携」や「人工知能(AI)の活用」「クラウドでの運用」などが、Javaや.NETといった現代のプログラミング言語の方が得意だからです。
しかし、COBOLは「お金の計算」が非常に正確で、長年の信頼があります。 そこで、「正確な計算はCOBOLに任せ、派手な画面やWeb機能はJavaや.NETで作る」という風に、お互いの得意分野を組み合わせて連携させるのが現在の主流となっています。
3. 連携の仕組み:橋渡し役が必要
COBOLという「日本語しか話さないベテラン」と、Javaや.NETという「英語しか話さない若者」が一緒に仕事をするには、通訳が必要です。 これをITの世界ではコネクタやミドルウェアと呼びます。
具体的には、以下のような流れで連携します。
- Javaの画面から「売上を計算して!」とお願いを送る。
- 通訳がそのお願いをCOBOLがわかる形式に翻訳する。
- COBOLが計算を実行し、結果を通訳に返す。
- 通訳がJavaのわかる形式に翻訳して、画面に表示する。
4. 段階的移行のステップ(アプローチ)
どのように少しずつ進めていくのか、一般的な3つのステップを解説します。
ステップ1:画面だけを新しくする(ラッピング)
中身のCOBOLはそのままで、操作する画面だけをJavaや.NETでWebブラウザ形式に作り直します。 利用者は最新の使いやすい画面を使えますが、裏側では信頼のCOBOLが動いている状態です。これを「ラッピング(包み込み)」と呼びます。
ステップ2:特定の機能を切り出す
例えば「新製品のキャンペーン計算」など、頻繁に変更が必要な機能だけをJavaで新しく作り、COBOLのメインシステムから呼び出すようにします。
ステップ3:データベースを共有・移行する
COBOLが使っている大切なデータを、Javaからも読み書きできるようにデータベースを整えます。 共通のデータを見ることができれば、新旧のプログラムが共存しやすくなります。
5. 連携のためのCOBOLサンプルコードイメージ
Java側から呼び出されることを想定した、シンプルなCOBOLの部品例です。 「値を渡されて、結果を返す」という窓口を意識して作ります。
IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. JAVA-LINK-CALC.
DATA DIVISION.
LINKAGE SECTION.
* Java側から渡される数値を受け取る場所
01 PASS-VALUE PIC 9(05).
* Java側へ計算結果を返す場所
01 RET-VALUE PIC 9(06).
PROCEDURE DIVISION USING PASS-VALUE RET-VALUE.
MAIN-LOGIC.
* 消費税(10%)を計算する例
COMPUTE RET-VALUE = PASS-VALUE * 1.10
GOBACK.
この LINKAGE SECTION(リンケージセクション)という場所が、Javaや.NETとデータをやり取りするための「受け渡し窓口」になります。
6. 連携によるメリットと注意点
この手法の最大のメリットはリスクの分散です。 万が一、新しいJavaの部分で不具合が起きても、影響をその部分だけに限定でき、会社全体のシステムが止まるのを防げます。
一方で、注意点もあります。 それは「二重管理」の苦労です。 COBOLがわかる人とJavaがわかる人の両方が必要になりますし、データが新旧どちらにあるかを常に把握しておかなければなりません。 また、連携のために通訳を挟む分、ほんの少しだけ処理時間が長くなることがあります。
7. 成功のためのキーワード解説
この分野でよく使われる専門用語を、簡単な言葉でまとめました。
| 用語 | 初心者向けの説明 |
|---|---|
| メインフレーム | COBOLが動いている巨大な専用コンピュータのこと。 |
| オープン系 | WindowsやLinuxなど、一般的なパソコンやサーバーで動くシステムの総称。 |
| Web API | Javaで作ったWebサイトから、遠くにあるCOBOLを呼び出すための通信路。 |
| 文字コード変換 | COBOLとJavaでは文字の扱い方が違うため、日本語が化けないように直す作業。 |
8. 未来を見据えたモダナイゼーションのゴール
段階的モダナイゼーションは、単なる「古いものから新しいものへの入れ替え」ではありません。 長年積み上げてきたビジネスの知恵(ロジック)を大切にしながら、最新のテクノロジーを柔軟に取り入れられる「ハイブリッドな環境」を構築することです。
いきなり高い壁を登るのではなく、一段ずつ階段を登るように。 COBOLという強力な土台を活かしつつ、Javaや.NETという翼を手に入れることで、企業のシステムはより強固で、より便利なものへと進化していくことができるのです。