COBOLのIDENTIFICATION DIVISIONを完全ガイド!初心者でも理解できる基本構造の書き方と使い方
生徒
「COBOLってどうやってプログラムを始めるんですか?」
先生
「COBOLでは、まず最初にIDENTIFICATION DIVISIONという部分から始めます。」
生徒
「そのIDENTIFICATION DIVISIONって何のためにあるんですか?」
先生
「とても良い質問です。プログラムの名前など、そのプログラムの“自己紹介”をする部分なんですよ。」
1. IDENTIFICATION DIVISIONとは?
COBOL(コボル)では、プログラムを書くときに最初に必要なのが「IDENTIFICATION DIVISION(アイデンティフィケーション・ディビジョン)」です。この部分は、そのプログラムが何という名前なのか、誰が作ったのかなど、いわば「名刺」や「タイトルページ」のようなものです。
IDENTIFICATIONは「身分証明」、DIVISIONは「区分」という意味なので、「プログラムの身分を示す区分」と覚えておくと理解しやすいです。
COBOLでは、プログラムをDIVISION(区分)という単位で分けて記述していきます。IDENTIFICATION DIVISIONは、その一番最初に書く部分です。
2. IDENTIFICATION DIVISIONに書く基本の構文
IDENTIFICATION DIVISIONでは、主に以下のような項目を書きます。
- PROGRAM-ID.(プログラムの名前)
- AUTHOR.(作成者の名前)
- DATE-WRITTEN.(作成日)
- REMARKS.(備考・コメント)
これらはすべて英語で書かれたキーワードで、それぞれの後に「.(ピリオド)」をつけるのがルールです。
3. IDENTIFICATION DIVISIONの具体的な書き方
実際にCOBOLでIDENTIFICATION DIVISIONを書くと、以下のようになります。
IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. SAMPLE-PROGRAM.
AUTHOR. YUI.
DATE-WRITTEN. 2025-06-10.
REMARKS. これはCOBOLのサンプルプログラムです。
ここでは、プログラムの名前を「SAMPLE-PROGRAM」とし、作成者を「YUI」、作成日を「2025-06-10」、そして簡単な説明を備考として書いています。
4. 各項目の意味と使い方を詳しく解説
PROGRAM-ID.は、プログラムの名前を指定する場所です。この名前は、COBOLのプログラム全体を識別するためのラベルのようなものです。半角英字・数字・ハイフン(-)を使って命名できます。
AUTHOR.は、そのプログラムを作成した人の名前を書きます。自分の名前やニックネームでもかまいません。
DATE-WRITTEN.は、プログラムを書いた日付を記録しておく部分です。年月日の順で書くのが一般的です。
REMARKS.は、「備考」や「メモ」のようなもので、自由に説明を書いてよい部分です。プログラムの目的や使い方のヒントを書くとよいでしょう。
5. なぜIDENTIFICATION DIVISIONが必要なのか
プログラミング初心者の方から見ると、「こんなこと書いて意味があるの?」と思うかもしれません。でも実は、IDENTIFICATION DIVISIONはとても大切です。
大規模なシステムや複数人で開発する場合、どのプログラムが何の目的で作られたかを明示しておくことで、保守作業がしやすくなり、間違いを防ぐことができます。
たとえるなら、IDENTIFICATION DIVISIONは「本の表紙」のようなもので、そのプログラムがどんなものか一目でわかる役割を持っています。
6. 間違えやすいポイントと注意点
初心者がIDENTIFICATION DIVISIONを書くときによくあるミスを紹介します。
- キーワードの後にピリオドを忘れる:たとえば
PROGRAM-IDのあとには必ず「.」が必要です。 - DIVISIONの順序を間違える:IDENTIFICATION DIVISIONは必ず一番最初に書きます。
- キーワードを小文字で書く:COBOLでは大文字が基本です。
こういったミスがあると、プログラムが正しく動かなかったり、エラーになってしまうので注意しましょう。
7. 実際のプログラムにおけるIDENTIFICATION DIVISIONの位置
COBOLプログラム全体の中で、IDENTIFICATION DIVISIONは最上部に書きます。以下は、簡単な出力を行うCOBOLプログラムの全体構造の例です。
IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. HELLO-WORLD.
AUTHOR. YUI.
DATE-WRITTEN. 2025-06-10.
PROCEDURE DIVISION.
DISPLAY "こんにちは!これはCOBOLのプログラムです。".
STOP RUN.
このように、IDENTIFICATION DIVISIONは、プログラムの最初に絶対に必要な基本パーツであることがわかります。
8. ポイントの整理
- IDENTIFICATION DIVISIONはCOBOLプログラムの最初に書く区分
- プログラム名(PROGRAM-ID)や作成者(AUTHOR)などを記述
- プログラムの“自己紹介”であり、後から見たときの手がかりになる
- 初心者でもルールに従えば簡単に書ける
まとめ
COBOLのIDENTIFICATION DIVISIONは、プログラムを書くうえで必ず最初に登場する重要なパートです。特に初心者にとっては、これが「何を意味しているのか」「なぜ必要なのか」が分かりづらいかもしれません。しかし、今回学んだように、IDENTIFICATION DIVISIONはそのプログラムの自己紹介をする役割を担っており、プログラムの構成やメンテナンス、チーム開発において非常に大切な情報を提供します。
中でもPROGRAM-ID.は、そのCOBOLプログラムの正式名称として機能します。プログラムが何であるかを識別するラベルのようなものなので、一意性を持ったわかりやすい名前を付けることが理想です。また、AUTHOR.やDATE-WRITTEN.といった項目は、後々の保守やバージョン管理に役立ち、誰が・いつ・なぜ作ったかが一目で把握できるようになります。さらにREMARKS.では、簡単な説明や注意事項を書いておくことで、将来の自分や他の開発者へのメッセージを残すことができます。
以下に、IDENTIFICATION DIVISIONを正しく記述したCOBOLプログラムの例を改めて示します。
IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. MY-HELLO-PROG.
AUTHOR. TARO.
DATE-WRITTEN. 2025-11-12.
REMARKS. 挨拶メッセージを表示する簡単なプログラム。
PROCEDURE DIVISION.
DISPLAY "こんにちは、COBOLの世界へようこそ!".
STOP RUN.
このように、IDENTIFICATION DIVISIONはCOBOLプログラムの出発点であり、しっかりと書くことで可読性・再利用性・保守性を高めることができます。また、現場では複数の開発者が同じプロジェクトに関わるケースが多く、IDENTIFICATION DIVISIONがしっかり書かれていれば、プログラムの意図や作成者の情報がすぐにわかり、トラブルや手戻りの防止にもつながります。
初心者のうちはDIVISIONやSECTIONといった構造を覚えるのが難しく感じるかもしれませんが、IDENTIFICATION DIVISIONは比較的シンプルで覚えやすい構成となっています。これをきっかけに、COBOLの構造的な書き方やDATA DIVISION・PROCEDURE DIVISIONといった次のステップにもスムーズに進めるようになるでしょう。
最後に大切なのは、書き方を覚えるだけでなく、その意味を理解することです。形式だけを覚えるのではなく、「なぜこの情報が必要なのか」「どんなときに役立つのか」を意識することで、より実践的なCOBOLスキルが身についていきます。
生徒
「IDENTIFICATION DIVISIONって、ただの名前とかを書くだけかと思ってたけど、意外と意味が深いんですね。」
先生
「そうですね。プログラムの“名刺”のようなものなので、誰が何のために書いたのかがすぐに分かるようにしておくと、後々とても助かりますよ。」
生徒
「特にREMARKSのところにコメントを書いておくと、自分でも読み返しやすくなりそうです。」
先生
「まさにその通りです。ちょっとしたメモでも、後から見ると大きな手がかりになります。読みやすいプログラムを書くことも、大切なスキルなんですよ。」
生徒
「これからCOBOLのプログラムを書くときは、IDENTIFICATION DIVISIONからしっかり書いていきます!」
先生
「いい意識ですね。プログラムの最初の一行から丁寧に、これからも頑張りましょう。」