COBOLのマルチジョブ・多段バッチ処理を徹底解説!初心者でもわかる負荷分散の考え方
生徒
「先生、COBOLの処理って大量のデータを扱うことが多いって聞きました。でも一度に全部やると時間がかかりそうですよね?」
先生
「そうですね。特に銀行や保険会社のシステムでは、夜間に大量のデータを一気に処理するバッチ処理が使われています。そこで重要になるのがマルチジョブや多段バッチといった負荷分散の仕組みです。」
生徒
「マルチジョブとか多段バッチって難しそうですが、どういうものなんですか?」
先生
「実は身近な例で考えると、とてもわかりやすいんです。順番に説明していきましょう!」
1. マルチジョブとは?
マルチジョブとは、ひとつの大きな処理をいくつかの小さな処理(ジョブ)に分けて、同時並行で実行する方法です。たとえば、大きなケーキを一人で切ると時間がかかりますが、複数人で同時に切れば早く終わるのと同じ考え方です。
COBOLの実行環境では、このマルチジョブを使うことで、処理の負荷を分散させ、コンピュータのCPUやメモリを効率的に使えるようにします。
具体的には、1,000万件の顧客データを処理する場合、全件をひとつのジョブで処理すると時間がかかります。しかし、データを10分割して10ジョブで同時に処理すれば、処理時間を大幅に短縮できます。
2. 多段バッチとは?
多段バッチとは、バッチ処理をいくつかの段階に分けて、順番に実行していく方法です。こちらは「リレー方式」と考えると分かりやすいです。例えば駅伝では、一人のランナーが走り終わったら次のランナーにタスキを渡します。多段バッチも同じで、ひとつの処理が終わったら次の処理にデータを渡していく仕組みです。
例えば、銀行のシステムでは以下のような流れがあります。
- 第1段階:入出金データを読み込む
- 第2段階:口座残高を更新する
- 第3段階:取引履歴を保存する
- 第4段階:帳票(レポート)を作成する
このように段階を分けて処理することで、エラーが起きた場合にも原因を特定しやすくなり、全体の処理を安全に進めることができます。
3. マルチジョブと多段バッチの違いを整理しよう
初心者の方が混乱しやすいポイントは、「マルチジョブ」と「多段バッチ」の違いです。
- マルチジョブ:同じ処理を同時並行で複数実行して負荷を分散する。
- 多段バッチ:処理を段階的に分けて順番に実行する。
たとえるなら、マルチジョブは「複数人で一緒に掃除する」、多段バッチは「掃除機→拭き掃除→片付け→ゴミ出し」と工程を順番に分けて行うイメージです。
4. COBOLでの負荷分散のイメージ
では、実際にCOBOLでの負荷分散をイメージしてみましょう。以下は簡単なサンプルです。顧客データを複数のジョブに分けて処理するイメージです。
IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. JOB-SAMPLE.
DATA DIVISION.
WORKING-STORAGE SECTION.
01 CUSTOMER-NO PIC 9(5).
PROCEDURE DIVISION.
PERFORM PROCESS-JOB-1
PERFORM PROCESS-JOB-2
PERFORM PROCESS-JOB-3
STOP RUN.
PROCESS-JOB-1.
DISPLAY "ジョブ1で顧客データを処理中".
PROCESS-JOB-2.
DISPLAY "ジョブ2で顧客データを処理中".
PROCESS-JOB-3.
DISPLAY "ジョブ3で顧客データを処理中".
ジョブ1で顧客データを処理中
ジョブ2で顧客データを処理中
ジョブ3で顧客データを処理中
実際の商用システムでは、もっと複雑な仕組みでジョブを管理しますが、考え方はこのサンプルと同じで「処理を分けて効率的に進める」ことがポイントです。
5. マルチジョブ・多段バッチのメリット
マルチジョブや多段バッチを使うことで得られるメリットはたくさんあります。
- 処理時間の短縮
- システム全体の効率化
- エラー発生時の切り分けが容易
- 大量データ処理の安定化
特に銀行や保険、官公庁などの大規模システムでは、夜間の限られた時間で膨大なデータを処理する必要があります。そのため、こうした負荷分散の考え方は必須の知識になります。
6. 初心者が理解すべきポイント
ここまで聞くと「難しそう」と思うかもしれませんが、基本の考え方はシンプルです。
- マルチジョブは「同時に分けて処理」
- 多段バッチは「順番に分けて処理」
この2つを頭に入れておけば、COBOLの実行環境やパフォーマンスを学ぶ際に、理解がぐっと進みます。パソコンを使ったことがない方でも、日常生活の例えでイメージできるはずです。