カテゴリ: COBOL 更新日: 2025/10/18

COBOLのファイルアクセス効率化とI/Oボトルネック対策を完全ガイド!初心者でもわかる入門解説

ファイルアクセスの効率化とI/Oボトルネック対策
ファイルアクセスの効率化とI/Oボトルネック対策

先生と生徒の会話形式で理解しよう

生徒

「先生、COBOLでファイルを読み書きするときに、処理が遅くなることがあるんですが、どうしたら速くできますか?」

先生

「それは“ファイルアクセスの効率化”と“ I/Oボトルネック対策”を考える必要があります。少しずつ分かりやすく説明していきますね。」

生徒

「I/Oボトルネックって、名前からして難しそうです……。」

先生

「大丈夫です。“I/O”はデータの読み書き、“ボトルネック”は処理が詰まる原因のことです。つまり“データの読み書きが原因で遅くなること”を指します。初心者でも実践できる改善方法を一緒に見ていきましょう。」

1. I/Oボトルネックとは?

1. I/Oボトルネックとは?
1. I/Oボトルネックとは?

COBOLでのI/Oボトルネックとは、プログラムがファイルを読み込んだり書き込んだりする処理(これを入出力処理といいます)が遅いために、全体の処理速度が落ちてしまう現象です。

例えば、スーパーのレジに例えると、レジ打ちが遅いとお客さんがどんどん溜まって行列ができてしまいますよね。これと同じで、ファイルを扱う速度が遅いと、プログラム全体のスピードが落ちてしまいます。

2. ファイルアクセスの基本を理解しよう

2. ファイルアクセスの基本を理解しよう
2. ファイルアクセスの基本を理解しよう

COBOLでファイルを扱うには、まずOPEN(オープン)でファイルを開き、READ(リード)で読み込み、WRITE(ライト)で書き込み、最後にCLOSE(クローズ)で閉じます。

例えば、1万件のデータを1行ずつ処理するプログラムでは、このREADとWRITEが何度も繰り返されます。この繰り返しが多いと、それだけ処理が遅くなり、I/Oボトルネックが発生する原因になるのです。

3. ファイルアクセスを効率化するポイント

3. ファイルアクセスを効率化するポイント
3. ファイルアクセスを効率化するポイント

ファイル処理を速くするには、以下のような工夫が効果的です。

  • バッファリングを使う: 一度にまとめてデータを読み書きすることで、アクセス回数を減らす方法です。
  • 順次アクセスを意識する: データを順番通りに読む「順次アクセス」にすると、処理が速くなります。
  • 必要なデータだけ扱う: 不要なデータを読み込まない工夫をすることで、I/Oの負荷を減らせます。

4. サンプルコードで学ぶ効率的なファイル処理

4. サンプルコードで学ぶ効率的なファイル処理
4. サンプルコードで学ぶ効率的なファイル処理

ここでは、COBOLでファイルを効率よく扱うシンプルな例を見てみましょう。


IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. FILE-OPTIMIZE.
ENVIRONMENT DIVISION.
INPUT-OUTPUT SECTION.
FILE-CONTROL.
    SELECT IN-FILE ASSIGN TO "input.txt"
        ORGANIZATION IS LINE SEQUENTIAL.
    SELECT OUT-FILE ASSIGN TO "output.txt"
        ORGANIZATION IS LINE SEQUENTIAL.

DATA DIVISION.
FILE SECTION.
FD IN-FILE.
01 IN-RECORD    PIC X(80).
FD OUT-FILE.
01 OUT-RECORD   PIC X(80).

WORKING-STORAGE SECTION.
01 WS-COUNT     PIC 9(5) VALUE 0.

PROCEDURE DIVISION.
    OPEN INPUT IN-FILE
         OUTPUT OUT-FILE
    PERFORM UNTIL EOF
        READ IN-FILE
            AT END MOVE "YES" TO EOF
            NOT AT END
                ADD 1 TO WS-COUNT
                WRITE OUT-RECORD FROM IN-RECORD
        END-READ
    END-PERFORM
    CLOSE IN-FILE OUT-FILE
    DISPLAY "処理件数:" WS-COUNT
    STOP RUN.

このサンプルは、入力ファイルから1行ずつデータを読み込み、出力ファイルに書き込むシンプルな例です。件数をカウントして最後に表示するので、処理件数も確認できます。

5. バッファリングで処理をまとめる

5. バッファリングで処理をまとめる
5. バッファリングで処理をまとめる

上記のコードでは1行ずつ処理していますが、複数行をまとめて扱う「バッファリング」を使うことで、処理速度が大幅に改善します。バッファとは「一時的にデータをためる箱」のようなものです。ためてからまとめて処理することで、I/Oの回数を減らせます。

これは、スーパーで1つずつ会計するのではなく、カゴいっぱいの商品をまとめて会計するのと同じです。プログラムでも同じ考え方を応用できます。

6. I/Oボトルネックを防ぐ具体的な工夫

6. I/Oボトルネックを防ぐ具体的な工夫
6. I/Oボトルネックを防ぐ具体的な工夫

COBOL初心者でも簡単に試せる改善方法をいくつか紹介します。

  • 不要なファイルアクセスを減らす: 必要なデータだけを扱うロジックを心がけましょう。
  • 処理順を最適化する: ファイルを順次処理(先頭から順番に読む方法)にすることで、シーク時間(データを探す時間)を短縮できます。
  • ログ出力を減らす: 開発中に多くのログを出力すると遅くなることがあります。本番では必要最低限に抑えるのがおすすめです。

7. 実行結果のイメージ

7. 実行結果のイメージ
7. 実行結果のイメージ

上記のプログラムを実行すると、次のような結果が表示されます。


処理件数:10000

1万件のデータを処理した場合、最終的に件数が表示されます。I/Oを効率化すれば、この処理時間が短くなるのを体感できるでしょう。

8. 初心者が意識したいポイント

8. 初心者が意識したいポイント
8. 初心者が意識したいポイント

COBOLのファイルアクセスを効率化するためには、基本をしっかり押さえることが大切です。

  • ファイルのオープンとクローズを正しく行う
  • バッファリングを活用する
  • 順次アクセスを意識した処理の流れにする

これらのポイントを押さえることで、初心者でもI/Oボトルネックの問題を大幅に減らせます。

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