カテゴリ: COBOL 更新日: 2025/12/25

COBOLのFILLERの使い方とは?未使用領域を上手に管理する基本テクニック

FILLERを使った未使用領域の管理テクニック
FILLERを使った未使用領域の管理テクニック

先生と生徒の会話形式で理解しよう

生徒

「COBOLで使わないデータの部分ってどうやって扱えばいいんですか?」

先生

「そんなときには、FILLER(フィラー)という仕組みを使うことで、未使用領域を上手に管理できますよ。」

生徒

「FILLERって名前だけ聞くと、何かを埋める感じがしますけど、どういうふうに使うんですか?」

先生

「とても良い感覚ですね。FILLERの役割や使い方を、具体例を交えてわかりやすく説明しますね!」

1. FILLER(フィラー)とは何か?

1. FILLER(フィラー)とは何か?
1. FILLER(フィラー)とは何か?

COBOL(コボル)のプログラムでは、データの構造を細かく定義することができます。例えば、名前・年齢・住所などの項目を扱う場合、それぞれの項目に対して領域を用意します。

しかし、データの中には「使わないけれど形式上存在している部分」というものがあります。たとえば、昔のシステムで使われていたけれど今は不要な欄や、固定長のファイルにおける空白部分などです。

このような「使わないけれど、無視はできないデータの領域」を扱うために登場するのが、FILLER(フィラー)です。

FILLERとは、名前を付けずに使わない領域を定義するためのキーワードです。

2. FILLERの使い方(基本例)

2. FILLERの使い方(基本例)
2. FILLERの使い方(基本例)

ここでは、FILLERの基本的な使い方を、やさしい例で見てみましょう。

以下は、1行のデータが20文字あり、そのうちの最初の5文字は使わず、次の10文字だけを名前として使いたい場合の定義です。


01 CUSTOMER-DATA.
   05 FILLER         PIC X(5).
   05 CUSTOMER-NAME  PIC X(10).
   05 FILLER         PIC X(5).

この例では、CUSTOMER-DATAというデータ構造の中に、3つの項目を定義しています。そのうち、CUSTOMER-NAMEだけが名前を持ち、他の2つのFILLERは名前がありません

つまり、「前の5文字」と「後ろの5文字」は使わず、真ん中の10文字だけを使用するという形になります。

3. FILLERを使う理由とメリット

3. FILLERを使う理由とメリット
3. FILLERを使う理由とメリット

「使わないなら、定義しなくてもいいのでは?」と思うかもしれません。でも、COBOLではデータの形式(構造)をきちんと定義しないと、他の処理と整合性がとれなくなります。

たとえば、他の会社やシステムから渡されたデータが次のような形式で決まっていたとします。

  • 1〜5文字目:不要
  • 6〜15文字目:顧客名
  • 16〜20文字目:不要

この場合、「不要な領域」をスキップする必要があるため、FILLERを使って正確な位置を合わせてあげるのです。

これにより、プログラムが他のシステムと正しく連携できるようになります。

4. FILLERを複数使うとどうなる?

4. FILLERを複数使うとどうなる?
4. FILLERを複数使うとどうなる?

COBOLでは、同じレベル番号内に複数のFILLERを定義することができます

ただし、FILLERは名前を持たないため、プログラムの中で参照することはできません。あくまで「この領域は使わないよ」と示すだけのものです。

以下は、複数のFILLERを使った例です。


01 PRODUCT-DATA.
   05 FILLER        PIC X(3).
   05 PRODUCT-CODE  PIC X(6).
   05 FILLER        PIC X(2).
   05 PRICE         PIC 9(5)V99.

この例では、「PRODUCT-CODE」と「PRICE」だけを使い、他の領域はFILLERでスキップしています。

5. FILLERの注意点

5. FILLERの注意点
5. FILLERの注意点

FILLERを使うと便利ですが、いくつか注意点があります。

  • FILLERは参照できない:名前がないため、DISPLAY文などで中身を表示することはできません。
  • FILLERに重複名はない:名前を持たないため、複数書いても競合しません。
  • FILLERの位置に注意:定義の順番によって、データの対応位置が変わるため、並び順を正確に。

6. FILLERを使った実践的なサンプルと出力結果

6. FILLERを使った実践的なサンプルと出力結果
6. FILLERを使った実践的なサンプルと出力結果

ここでは、実際にFILLERを使ってデータを表示しようとした例と、出力結果を紹介します。


IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. FILLER-DEMO.

DATA DIVISION.
WORKING-STORAGE SECTION.
01 SAMPLE-DATA.
   05 FILLER         PIC X(4) VALUE "XXXX".
   05 USER-NAME      PIC X(6) VALUE "YUIKO ".
   05 FILLER         PIC X(2) VALUE "ZZ".

PROCEDURE DIVISION.
    DISPLAY "ユーザー名は:" USER-NAME
    STOP RUN.

出力結果:


ユーザー名は:YUIKO 

このように、FILLERの部分は出力されず、USER-NAMEの部分だけが表示されます。

7. どんな場面でFILLERを使う?

7. どんな場面でFILLERを使う?
7. どんな場面でFILLERを使う?

FILLERは、以下のような場面で役に立ちます。

  • 固定長ファイルの形式に合わせるとき
  • 過去のシステムから引き継いだデータ構造を再現するとき
  • 将来のために予備領域を確保しておきたいとき

たとえば、銀行や保険会社などの基幹システムでは、データ形式が厳格に決まっていることが多く、FILLERが欠かせません。

8. FILLERでデータ構造を美しく保とう

8. FILLERでデータ構造を美しく保とう
8. FILLERでデータ構造を美しく保とう

プログラムの読みやすさや、他のプログラマーが見たときの理解しやすさも大切です。FILLERを使って不要な領域を明示的に示すことで、「ここは使っていない領域ですよ」という意図が明確になります。

また、将来的にこの領域を使うことになったときも、簡単に置き換えることができるというメリットがあります。

まとめ

まとめ
まとめ

COBOLのFILLERは、一見地味な存在に見えますが、固定長データや既存システムとの連携が欠かせない業務システムではとても重要な役割を果たします。特に、銀行や保険、物流や行政などの長い歴史を持つ大規模システムでは、過去の形式を維持したまま新しい仕組みを追加する必要がある場面が多く、そのたびにデータ形式のズレやレイアウトの崩れが発生しないよう、細かい領域の管理が求められます。こうした背景を理解すると、使わない領域を曖昧に放置せず、FILLERを使って明確に定義することが、結果的に高品質なシステムを守ることにつながると実感できるはずです。

また、FILLERを置くことで、後続のデータ項目が常に正しいバイト位置で読み取れるようになります。たとえば、他システムから受け取る固定長ファイルが毎日届くような仕組みでは、たった1文字ずれるだけで顧客名が別の欄に解釈されたり、価格が誤って認識されたりと、大きな障害につながる可能性があります。FILLERによって位置を埋めておくことで、読み取りミスやずれを未然に防ぎ、スムーズな連携ができるわけです。

さらに、FILLERは将来の拡張にも役立ちます。今は使わない領域でも、将来的に新しい項目を追加したいという場面はよくあります。そのとき、すでにFILLERが置かれていれば単純に項目名をつけて置き換えるだけで済み、既存システムの構造を崩さず自然に拡張できます。こうした柔軟性は、長期運用が前提となるCOBOLシステムの現場でとても重宝されます。

もちろん、便利な反面、FILLERは「参照できない」「DISPLAYできない」という性質を理解しておくことも大切です。中身を確認したくても、名前がないため直接見ることはできません。しかし、そもそもFILLERは参照の必要がない領域を示すものなので、「この領域は使わない」「空白でも問題ない」という意思表示のために存在しています。単なる穴埋めではなく、プログラム全体の整合性を保つための明確な役割を持つ要素だと考えるとイメージしやすいはずです。

さらに、プログラムの可読性という面でもFILLERは大きな意味を持ちます。もし使わない領域をすべて無視して記述した場合、後から見た人は「なぜここから突然顧客名が始まるのか?」「途中の空白は何のためにあるのか?」と疑問に感じるでしょう。FILLERを置いておけば、それだけで「この部分は使わない領域である」という意図が一目で伝わります。読みやすさは保守性そのものにつながり、年月が経っても理解しやすいプログラムになります。

実践的なサンプル:固定長ファイルを読み取る処理

下記は、FILLERを含むレイアウトのデータを読み取り、必要な部分だけを表示するサンプルです。実際の現場では取引データや顧客データなどでよく見る形です。


IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. FILLER-PRACTICE.

DATA DIVISION.
WORKING-STORAGE SECTION.
01 IN-DATA.
   05 FILLER           PIC X(4).            *> 先頭4文字は不要領域
   05 USER-ID          PIC X(6).            *> ユーザーID
   05 FILLER           PIC X(3).            *> 使わない区切り領域
   05 USER-POINT       PIC 9(5).            *> ポイント数
   05 FILLER           PIC X(2).            *> 不要領域

PROCEDURE DIVISION.
    MOVE "XXXXUSER01ABC01234ZZ" TO IN-DATA
    DISPLAY "ユーザーID:" USER-ID
    DISPLAY "ポイント数:" USER-POINT
    STOP RUN.

文字列全体はひとつの塊ですが、FILLERによって必要な要素だけを安全に取り出すことができています。これが、固定長データを扱うCOBOLの強みであり、FILLERの魅力です。

もしデータ形式が変更される場合も、FILLERを入れ替えるだけで整形ができるため、他の変数名を汚さずに保守が進められます。古いシステムと新しいシステムが混在している環境では、こうした細やかな工夫がトラブル回避につながります。

先生と生徒の振り返り会話

生徒

「最初はFILLERって単に空白を埋めてるだけと思っていましたけど、すごく重要なんですね。」

先生

「そうなんです。データの位置がずれたり、ほかのプログラムと連携できなくなったり、大きな問題を防ぐために役立っています。」

生徒

「参照できないという点も逆にメリットなんですね。触らなくていい領域だと分かりやすいです。」

先生

「そうですね。名前を持たないことで、これは使わない部分なんだと明確にできます。」

生徒

「実務でよく扱うファイル形式にも生きてくるから、基礎だけど覚えておくと安心ですね!」

先生

「まさにその通りです。細かいようでも、システムを守る大切な仕組みなので、ぜひ活用していきましょう。」

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