カテゴリ: COBOL 更新日: 2025/06/26

COBOLのデータ型とは?基本のPIC句の書き方を初心者向けにやさしく解説

COBOLのデータ型とは?基本のPIC句の書き方
COBOLのデータ型とは?基本のPIC句の書き方

先生と生徒の会話形式で理解しよう

生徒

「先生、COBOLでデータを使うときって、どうやって種類を決めるんですか?」

先生

「COBOLでは、データの種類を“データ型”で指定します。特にPIC句というのを使って定義します。」

生徒

「PIC句ってなんですか? 難しそう…」

先生

「大丈夫ですよ。PIC句は、データの形(フォーマット)を指定するものです。数字か文字か、小数かなどを決めるんです。では、順番に見ていきましょう!」

1. COBOLのデータ型とは?

1. COBOLのデータ型とは?
1. COBOLのデータ型とは?

プログラミングでは、数字や文字などの「データ」を扱います。そのとき「このデータは数字ですよ」とか「これは文字列ですよ」といった情報が必要になります。これがデータ型(data type)です。

COBOLでは、他の言語のように「int」や「string」といった名前でデータ型を指定するのではなく、「PIC句(ピックく)」という方法で書きます。

PICとは「PICTURE(ピクチャー)」の略で、「このデータはこんな形ですよ」という“見た目のルール”を決める文です。

2. PIC句の基本構文

2. PIC句の基本構文
2. PIC句の基本構文

基本の構文はこのようになります:


01  変数名  PIC データの形式.

例えば、3桁の数字を扱いたいときは、こう書きます:


01  AGE  PIC 999.

ここで使われている「9」は、「数字(0〜9)を1桁分受け取る」という意味です。つまり、「999」と書くと、「3桁の数字」を意味します。

3. PIC句で使われる文字の意味

3. PIC句で使われる文字の意味
3. PIC句で使われる文字の意味

PIC句でよく使われる文字と意味は以下の通りです:

  • 9:数字(0〜9)を1桁
  • X:文字(英数字・記号など)を1文字
  • A:アルファベット1文字
  • V:小数点の位置(実際のデータには表示されない)
  • S:符号付き(+や−の意味)

例えば、「S999V99」という定義なら、「符号付きで整数3桁、小数2桁の数値」を扱えます。

4. 数値を扱うPIC句の例

4. 数値を扱うPIC句の例
4. 数値を扱うPIC句の例

以下に、COBOLで使える数値の例を紹介します。


01  PRICE  PIC 999V99.
01  QUANTITY  PIC 9(3).
01  TOTAL  PIC S9(5)V99.
  • PRICE は、整数3桁、小数2桁の金額(例:123.45)
  • QUANTITY は、「9(3)」で「999」と同じ意味(3桁の数字)
  • TOTAL は、「符号付き」で最大5桁の整数と2桁の小数(例:-12345.67)

5. 文字を扱うPIC句の例

5. 文字を扱うPIC句の例
5. 文字を扱うPIC句の例

文字や名前などを扱いたいときは、「X」を使います。


01  NAME  PIC X(20).
01  GENDER  PIC X.

この例では、NAMEは最大20文字の名前、GENDERは1文字(例:「M」や「F」)を想定しています。

6. 実行例を見てみよう

6. 実行例を見てみよう
6. 実行例を見てみよう

次に、簡単なプログラムを作って、PIC句で定義した変数に値を入れて表示してみましょう。


IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. PIC-SAMPLE.

DATA DIVISION.
WORKING-STORAGE SECTION.
01  NAME      PIC X(10).
01  AGE       PIC 99.
01  HEIGHT    PIC 999V9.

PROCEDURE DIVISION.
    MOVE "YUI" TO NAME
    MOVE 25 TO AGE
    MOVE 160.5 TO HEIGHT

    DISPLAY "名前:" NAME
    DISPLAY "年齢:" AGE
    DISPLAY "身長:" HEIGHT

    STOP RUN.

実行結果:


名前:YUI       
年齢:25
身長:1605

ここで、HEIGHTは「999V9」として小数点付きのつもりでしたが、「V」は表示されないため「160.5」は「1605」と表示されます。Vは“見えない小数点”という点がポイントです。

7. よくある間違いと注意点

7. よくある間違いと注意点
7. よくある間違いと注意点
  • 「V」は実際の表示には出ません。「160.5」は「1605」として扱われます。
  • 桁数オーバーすると、エラーになったり正しく表示されません。例えば「PIC 99」に「123」を入れると、入りきらないため注意が必要です。
  • 文字型に数字を入れると、そのまま文字列として扱われます(例:「"123"」は数字ではなく文字)

8. 実務での使いどころ

8. 実務での使いどころ
8. 実務での使いどころ

COBOLでは、銀行の取引データや顧客情報、年齢や金額など、いろいろな形式のデータを扱います。これらを正しいフォーマットで扱うためにPIC句を使います

例えば、給与明細を作るとき、

  • 社員名 → PIC X(30)
  • 基本給 → PIC 9(6)V99
  • 控除額 → PIC S9(5)V99

このように、現実の業務データとピッタリ対応させて、コンピュータに分かる形にするために、データ型の指定とPIC句の理解が大切です。

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