COBOLのモジュール間の依存関係を整理する方法!初心者でもわかる構造化の基本
生徒
「COBOLのプログラムがいくつかに分かれていると、どうやって整理すればいいんですか?」
先生
「それは『モジュールの依存関係』という考え方で整理できます。わかりやすく説明しましょう。」
生徒
「依存関係ってなんだか難しそうですね…」
先生
「大丈夫です。例え話を交えて、プログラミング初心者にもわかるように解説しますよ!」
1. モジュールって何?COBOLのプログラムの分け方
COBOLでは、1つの大きなプログラムをいくつかの「部品」に分けて作ることが多いです。この部品のことを「モジュール」といいます。
たとえば、ひとつの料理を作るときに「ごはんを炊く」「野菜を切る」「肉を焼く」といった作業を別々にやるようなものです。これをCOBOLで表すと、サブルーチン(小さな処理のかたまり)になります。
2. 依存関係とは?簡単なたとえで理解しよう
「依存関係(いぞんかんけい)」とは、あるモジュールが別のモジュールの中身を必要としている状態のことです。
たとえば、「野菜を炒める」という作業は「野菜を切る」が終わっていないとできません。このように、ある処理が別の処理に「頼っている(依存している)」という関係のことを指します。
3. なぜ依存関係を整理する必要があるの?
モジュールの依存関係を整理しないと、次のような問題が起こります:
- どのモジュールがどれに影響しているのかわかりにくい
- 修正すると他の場所に不具合が出る
- プログラム全体が複雑になって管理できなくなる
だからこそ、しっかりと整理しておくことで、バグの予防や保守性(ほしゅせい)※修正しやすさが高まります。
4. モジュールの役割をはっきりさせる
まずは、各モジュールの「目的」をはっきりさせましょう。
たとえば:
- 顧客情報を読み込むモジュール
- 売上を集計するモジュール
- 帳票を出力するモジュール
このように、モジュールを目的別に分けて、処理内容が重ならないようにします。料理でいうと「煮物」と「焼き物」を別々の鍋で作るイメージです。
5. モジュール間のやり取りは引数で
COBOLでは、モジュール間で情報を渡すには、USINGとGIVINGを使って「引数(ひきすう)」でデータの受け渡しをします。
CALL 'CALC-MODULE' USING WS-SALES-AMOUNT
WS-TAX-RATE
GIVING WS-TOTAL-AMOUNT.
これにより、必要な情報だけを渡して、必要な処理だけを行うという、シンプルな関係にできます。
6. 共有変数に頼りすぎない
WORKING-STORAGE SECTIONなどに定義された共有変数を、複数のモジュールで使うと便利そうに見えますが、どこで変更されているかわからなくなってしまいます。
これを防ぐためには、「必要な情報は引数で渡す」というルールを守ることが大切です。
7. COPY句で共通定義を整理しよう
複数のモジュールで使う定義(変数や構造)がある場合、COPY句を使って共通ファイルにまとめると、整理がしやすくなります。
WORKING-STORAGE SECTION.
COPY 'COMMON-DATA'.
1か所を修正するだけで、すべてのモジュールに反映されるため、管理がとても楽になります。
8. モジュールの呼び出し順を図にすると見やすい
初心者のうちは、紙に手書きでもよいので、どのモジュールがどれを呼んでいるか、線でつなぐような「依存関係図」を作るのがおすすめです。
視覚的に整理することで、プログラムの全体像がつかみやすくなります。
9. 実行例:シンプルなモジュール呼び出し
以下は、メインのプログラムから「計算モジュール」を呼び出す簡単な例です。
IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. MAIN-PROG.
DATA DIVISION.
WORKING-STORAGE SECTION.
01 WS-PRICE PIC 9(5) VALUE 10000.
01 WS-TAX PIC 9(3)V99 VALUE 1.10.
01 WS-TOTAL PIC 9(7)V99.
PROCEDURE DIVISION.
CALL 'CALC-TOTAL' USING WS-PRICE
WS-TAX
GIVING WS-TOTAL.
DISPLAY "合計金額:" WS-TOTAL.
STOP RUN.
IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. CALC-TOTAL.
DATA DIVISION.
LINKAGE SECTION.
01 L-PRICE PIC 9(5).
01 L-TAX PIC 9(3)V99.
01 L-TOTAL PIC 9(7)V99.
PROCEDURE DIVISION USING L-PRICE L-TAX
GIVING L-TOTAL.
COMPUTE L-TOTAL = L-PRICE * L-TAX.
GOBACK.
合計金額:11000.00
10. モジュールの整理ルールを決めよう
チームで開発する場合は、次のようなルールを決めておくと、プログラムが読みやすくなり、誰が作っても同じスタイルで書けるようになります:
- モジュールの命名規則(例:CALC-、PRINT-、READ-など)
- 引数の渡し方や順番
- 共有データはCOPY句で管理
- WORKING-STORAGEをむやみに共有しない
ルールを守ることで、トラブルを防ぎ、COBOLプログラムの安定性が向上します。
まとめ
COBOLのモジュールと依存関係の整理は、大規模な業務プログラムを扱う際に非常に重要な基礎となります。とくにCOBOLのような長期間運用され、多数の開発者が関わるシステムでは、各モジュールの役割を明確にし、依存関係を適切に把握して整理しておくことで、保守性や安全性が高まり、修正時のリスクも減らせます。 複数のモジュールを扱うときには、それぞれの目的をはっきりと分け、引数を使ったやり取りによって明確な情報伝達を行い、共有変数の使いすぎを避けることで、予期せぬ不具合の発生を抑えることができます。さらに、COPY句を利用して共通データ定義を一元管理することで、複数のモジュールにまたがる変数の整合性を保つことができ、システム全体の安定に寄与します。 また、依存関係を紙に書き出したり、図式化したりすることで、プログラムの流れがより理解しやすくなり、初心者にとっても全体像がつかみやすくなるという利点があります。こうした整理を続けることで、COBOLプログラムは長期的な運用にも耐えられる堅牢な構造へと成長していきます。
整理された依存関係を意識したサンプルプログラム
IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. SUMMARY-MAIN.
DATA DIVISION.
WORKING-STORAGE SECTION.
01 WS-INPUT-PRICE PIC 9(5) VALUE 20000.
01 WS-INPUT-RATE PIC 9(3)V99 VALUE 1.08.
01 WS-OUTPUT-TOTAL PIC 9(7)V99.
01 WS-REPORT-MESSAGE PIC X(40).
PROCEDURE DIVISION.
CALL 'SUMMARY-CALC' USING WS-INPUT-PRICE
WS-INPUT-RATE
GIVING WS-OUTPUT-TOTAL
PERFORM REPORT-SECTION
STOP RUN.
REPORT-SECTION.
MOVE "計算結果は以下の通りです。" TO WS-REPORT-MESSAGE
DISPLAY WS-REPORT-MESSAGE
DISPLAY "最終金額:" WS-OUTPUT-TOTAL.
IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. SUMMARY-CALC.
DATA DIVISION.
LINKAGE SECTION.
01 L-IN-PRICE PIC 9(5).
01 L-IN-RATE PIC 9(3)V99.
01 L-OUT-TOTAL PIC 9(7)V99.
PROCEDURE DIVISION USING L-IN-PRICE L-IN-RATE
GIVING L-OUT-TOTAL.
COMPUTE L-OUT-TOTAL = L-IN-PRICE * L-IN-RATE
GOBACK.
このようにモジュールごとに役割をきちんと分割することで、処理の流れが明確になり、どこで何が行われているかが一目でわかるようになります。特に依存関係を減らし、引数を用いたデータの受け渡しに統一することは、COBOLプログラム全体の品質向上につながります。 また、共通部分をCOPY句にまとめることでメンテナンス性がさらに高まり、多人数開発でも安全に運用しやすくなるため、長く使われる業務プログラムには欠かせない技術です。モジュール化の考え方をしっかり身につけることで、より読みやすく、扱いやすく、信頼されるCOBOLプログラムを作り上げられるようになります。
生徒
「今日の内容で、モジュールごとの役割をはっきり分けることが、どうして大事なのかよくわかりました。依存関係を整理するとプログラムが見やすくなるんですね!」
先生
「その通りです。依存関係が整理されているほど、修正の影響が少なくなり、プログラム全体が安定します。COBOLでは特に重要な考え方です。」
生徒
「引数でデータを渡すと、どこで値が変わったか追いやすくなるのも良いですね。共有変数を使いすぎない理由もよく理解できました!」
先生
「ええ、共有変数は便利ですが、増えすぎると管理が難しくなってしまいます。COPY句を使って共通部分を統一しておくと、開発チーム全体の作業もスムーズになりますよ。」
生徒
「依存関係の図を作るというのも、初心者でも取り組みやすいと思いました!全体の流れを視覚的に見られるのが良いですね。」
先生
「図にすると理解が深まりますし、複雑なシステムで迷子にならずに済みます。これからも整理しながら学んでいきましょう。」