カテゴリ: C# 更新日: 2025/11/14

C#の制御構造でパフォーマンスを意識した書き方のポイント

C#の制御構造でパフォーマンスを意識した書き方のポイント
C#の制御構造でパフォーマンスを意識した書き方のポイント

先生と生徒の会話形式で理解しよう

生徒

「C#でプログラムを書くとき、処理の速さって気にしたほうがいいんですか?」

先生

「はい、実はプログラムの書き方によって、動作の速さや無駄の少なさが変わってきます。」

生徒

「同じ結果が出るなら、どんな書き方でも一緒じゃないんですか?」

先生

「いえ、特にif文やfor文などの“制御構造”は、書き方によってパフォーマンスに差が出ることがあるんですよ。それでは、効率的な書き方のコツを学んでいきましょう!」

1. 制御構造とは?

1. 制御構造とは?
1. 制御構造とは?

制御構造とは、プログラムの実行の流れを決める文のことです。C#では主にif文switch文for文while文foreach文などがあります。これらを使って、繰り返し処理や条件分岐を行います。

これらの書き方を工夫することで、処理の速さ(パフォーマンス)を向上させることができるのです。

2. 条件分岐は頻度の高いものを先に書く

2. 条件分岐は頻度の高いものを先に書く
2. 条件分岐は頻度の高いものを先に書く

if文で複数の条件をチェックする場合、最もよく使われる条件を先に書くことで、無駄なチェックを減らすことができます。


int value = 1;

if (value == 1)
{
    Console.WriteLine("1です");
}
else if (value == 100)
{
    Console.WriteLine("100です");
}
else
{
    Console.WriteLine("それ以外です");
}

このように、「1」が来る頻度が高いなら最初に書くことで、後の条件チェックを省略できて処理が早くなります。

3. ループ処理は最小限に

3. ループ処理は最小限に
3. ループ処理は最小限に

for文while文で繰り返す処理の中では、できるだけ余計な処理を避けることが大事です。

例えば、ループ内で毎回同じ計算をしていると、処理が遅くなる原因になります。


int[] numbers = new int[10000];

// 良くない例:ループ内で毎回Lengthを呼び出している
for (int i = 0; i < numbers.Length; i++)
{
    numbers[i] = i * 2;
}

// 改善例:事前に変数に格納しておく
int length = numbers.Length;
for (int i = 0; i < length; i++)
{
    numbers[i] = i * 2;
}

変わらない値はループの外に出すことで、CPUの負担を減らすことができます。

4. ループの種類を選ぶ

4. ループの種類を選ぶ
4. ループの種類を選ぶ

foreach文は便利ですが、for文のほうが速い場合もあります。特に、配列(Array)など、インデックスでアクセスできるデータにはfor文が向いています。


string[] names = { "太郎", "花子", "次郎" };

// foreach文:読みやすいが少し遅い
foreach (var name in names)
{
    Console.WriteLine(name);
}

// for文:高速だが少し書き方が複雑
for (int i = 0; i < names.Length; i++)
{
    Console.WriteLine(names[i]);
}

小さな差でも、繰り返しの回数が多くなるとパフォーマンスに大きく影響します。

5. breakとcontinueで無駄を省く

5. breakとcontinueで無駄を省く
5. breakとcontinueで無駄を省く

breakcontinueを使えば、必要のない処理を途中でやめることができます。


int[] numbers = { 1, 3, 5, 7, 9 };

foreach (int num in numbers)
{
    if (num > 5)
    {
        break; // 5を超えたらループ終了
    }

    if (num % 2 == 0)
    {
        continue; // 偶数はスキップ(この場合無いけど)
    }

    Console.WriteLine(num);
}

このようにすると、無駄な処理を省略して効率的にループを使えます。

6. ネストは浅く、シンプルに

6. ネストは浅く、シンプルに
6. ネストは浅く、シンプルに

条件分岐の中にさらに分岐を重ねる(ネスト)と、コードが読みづらくなり、処理にも時間がかかることがあります。

できるだけ早くreturnbreakで処理を終わらせたり、早期リターンの形でコードをスッキリ書くと、可読性も高まりパフォーマンスにも良い影響があります。


// ネストが深い例
if (x > 0)
{
    if (x < 100)
    {
        Console.WriteLine("xは0より大きく100未満です");
    }
}

// スッキリした書き方
if (x <= 0) return;
if (x >= 100) return;

Console.WriteLine("xは0より大きく100未満です");

7. 変数のスコープを意識しよう

7. 変数のスコープを意識しよう
7. 変数のスコープを意識しよう

変数のスコープとは、その変数が使える範囲のことです。使う場所に近いところで変数を定義することで、メモリの使用効率が良くなります。


// スコープが広すぎる例
int result;
if (x > 0)
{
    result = x * 2;
    Console.WriteLine(result);
}

// スコープが適切な例
if (x > 0)
{
    int result = x * 2;
    Console.WriteLine(result);
}

こうすることで、メモリの無駄遣いを減らすことができます。

8. 不要な条件チェックを減らす

8. 不要な条件チェックを減らす
8. 不要な条件チェックを減らす

同じ条件を何度も書いていると、処理の無駄になります。事前に条件を整理することで、処理を効率化できます。


// 無駄な条件チェック
if (x > 0)
{
    if (x > 0 && x < 100)
    {
        Console.WriteLine("xは0より大きく100未満です");
    }
}

// スッキリした書き方
if (x > 0 && x < 100)
{
    Console.WriteLine("xは0より大きく100未満です");
}

まとめ

まとめ
まとめ

ここまで学んできたC#の制御構造に関する内容を振り返ると、ひとつひとつの文法自体はとても身近なものですが、 その書き方を少し工夫するだけで処理速度やメモリの使い方が大きく変わることがよくわかります。 とくに条件分岐やループ処理は日常的に使う構造なので、ほんのわずかな差であっても積み重なると大きな違いになり、 プログラム全体の快適さに影響を与えます。こうした細かな書き方の工夫は、読み手の理解を助けるだけでなく、 実際の実行結果にも直接関係してくるため、避けて通ることのできない重要な知識です。 また、ループや条件分岐の整理は、処理の無駄を省くだけでなく「どのような流れでデータが動くのか」が明確になるため、 コード全体の見通しが良くなり、保守しやすいプログラムへとつながります。とくに配列やコレクションを扱う場面では、 繰り返し回数が多くなるため、処理効率を考えながら組むことが欠かせません。ひとつの実装が少し変わるだけで、 実際の速度が何倍も変わることもあり、丁寧な設計の意味がよりはっきりと感じられるはずです。こうした工夫を積み重ねることで、 日々の開発がより直感的でわかりやすくなり、自信を持ってコードを書けるようになります。

パフォーマンスを意識したサンプルコード

以下のサンプルは、これまで学んだ「条件整理」「ループ最適化」「スコープの意識」などを組み合わせた例です。 実際に書くときに、どの部分が改善できるのか確認しながら読むと理解が深まります。


// 配列内の特定範囲の数値だけを高速に処理したい場合の例

int[] values = Enumerable.Range(1, 10000).ToArray();

// 改善ポイント:Lengthを事前に取得/不要なチェックを初期段階で排除
int length = values.Length;

for (int i = 0; i < length; i++)
{
    int v = values[i];

    // 早期continueで不要な値を除外
    if (v < 100) continue;
    if (v > 5000) break;

    // スコープを最小限に
    int result = v * 2;

    Console.WriteLine(result);
}

このように、小さな工夫の積み重ねが、後になって積極的な差として現れます。とくに長い処理や複雑なロジックが絡む場合ほど、 早めに無駄を取り除き、読み手にも優しい形に整理することが重要になります。最初は少し回り道と感じても、 慣れてくると自然に効率の良い構造を選べるようになり、日々のコード品質が安定して向上していきます。

先生と生徒の振り返り会話

生徒

「今日の内容って、細かい部分が多いけど、実際のプログラムでどれくらい違いが出るんですか?」

先生

「思っている以上に違いが出るよ。とくに大量のデータを扱う処理だと、条件の順番やネストの深さ、 ループの書き方ひとつで全体の実行時間が大きく変わることもあるんだ。」

生徒

「なるほど……。書き方の癖がそのままパフォーマンスの差につながるってことですね。」

先生

「その通り。しかも効率の良いコードは読みやすいことが多いから、保守のしやすさにもつながるんだよ。 わかりやすく書くことと速く動くことが両立するのが理想なんだ。」

生徒

「じゃあ、日頃から条件の整理やスコープの意識をしながら書く練習をしたほうがよさそうですね!」

先生

「うん、それが一番大事。習慣にしておけば自然に効率のよいコードが書けるようになるから、 今日学んだことを少しずつ自分の書き方に取り入れてみよう。」

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