COBOLバッチ運用管理の現場事例を徹底解説!初心者が知るべき運用のコツ
生徒
「COBOLのバッチ運用管理って、実際の仕事現場ではどんなことをしているんですか?」
先生
「現場では、大量のデータを安全に処理するために、毎日決まった手順でプログラムを動かして、トラブルがないか見守っているんですよ。」
生徒
「パソコンを触ったことがない私でも、現場のイメージが湧くように教えてほしいです!」
先生
「もちろんです。実際の失敗談や成功例を交えながら、現場のリアルな運用管理の世界をのぞいてみましょう!」
1. バッチ運用管理の仕事内容とは?
バッチ運用管理とは、一言で言えば「プログラムの定期健康診断と見守り」です。バッチ処理とは、銀行の取引データや会社の売上データなど、膨大な情報を夜中などにまとめて一気に処理することを指します。この処理がスケジュール通りに始まり、エラーなく終わるように管理するのが運用管理の役割です。
例えば、あなたが毎日決まった時間に目覚まし時計をセットして起きるように、システムも「夜中の2時に売上を集計するプログラムを動かす」といったスケジュールを組みます。もし目覚ましが鳴らなかったり、体調を崩して起きられなかったりしたときに、すぐに駆けつけて助けてあげるのが運用管理者の仕事です。プログラミング未経験の方でも、工場のラインが止まらないように見守る警備員さんをイメージすると分かりやすいかもしれません。
2. 現場事例その1:入力データの形式エラー
実際の現場でよくあるのが、送られてきたデータの形が予想と違っていて、プログラムが止まってしまう事例です。これをデータ形式不備と呼びます。例えば、数字が入るべき場所に文字が入っていたり、本来あるべきデータが空っぽだったりする場合です。
初心者の方向けに、簡単なチェックプログラムの例を見てみましょう。データが正しい数字かどうかを確認する処理です。
IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. CHECK-DATA.
DATA DIVISION.
WORKING-STORAGE SECTION.
01 IN-DATA PIC X(5) VALUE "12A45".
01 NUM-DATA PIC 9(5).
PROCEDURE DIVISION.
IF IN-DATA IS NUMERIC THEN
DISPLAY "データは正しい数字です。"
MOVE IN-DATA TO NUM-DATA
ELSE
DISPLAY "エラー:数字以外の文字が含まれています!"
MOVE 8 TO RETURN-CODE
END-IF.
STOP RUN.
現場では、このようなエラーが起きたときに「どのファイルの何行目が間違っているか」をログ(記録)から探し出し、データを修正して再実行します。データの不備は運用の現場では日常茶飯事なので、こうしたチェック機能がとても重要になります。
3. 現場事例その2:二重実行の防止
次に紹介するのは、同じプログラムを間違えて2回動かしてしまう二重実行のミスです。銀行の振込プログラムが2回動いてしまったら、大変なことになりますよね。二重に引き落とされてしまうかもしれません。
現場では、プログラムが動いている間は「今は実行中ですよ」という印をどこかに残しておく仕組みを作ります。これを排他制御(はいたせいぎょ)の応用と呼んだりします。簡単な例として、実行状態を確認するプログラムを考えてみましょう。
IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. DUP-CHECK.
DATA DIVISION.
WORKING-STORAGE SECTION.
01 RUN-STATUS PIC X(10) VALUE "RUNNING".
PROCEDURE DIVISION.
IF RUN-STATUS = "RUNNING" THEN
DISPLAY "警告:既に別の処理が動いています。中止します。"
STOP RUN
ELSE
DISPLAY "処理を開始します。"
* ここに実際の処理を書く
END-IF.
STOP RUN.
こうした「うっかりミス」を防ぐためのガードレールを敷くのも、運用管理をスムーズに行うための現場の知恵です。
4. 現場事例その3:ディスク容量不足のトラブル
パソコンのハードディスクがいっぱいになって写真が保存できなくなった経験はありませんか?バッチ運用の現場でも、ディスクフルという現象が起きます。大量のデータを処理して結果を保存しようとしたときに、保存先のスペースが足りなくなってプログラムが強制終了してしまうのです。
現場では、毎日どれくらいのデータが増えているかをグラフで監視し、パンパンになる前に「そろそろ古いデータを削除しよう」といった対応を行います。これを容量管理(キャパシティ管理)と呼びます。運用管理者は、ただプログラムを動かすだけでなく、システムという「箱」の余裕も常にチェックしているのです。もしディスクがいっぱいになったら、慌てて不要なファイルを消す作業を夜中に行うこともあります。
5. 異常終了したときの「リカバリ」手順
プログラムが途中で止まってしまったとき、そのまま最初からやり直せば良いとは限りません。例えば、100人分の計算のうち、50人まで終わったところで止まった場合、もう一度最初から動かすと最初の50人が二重に計算されてしまう可能性があるからです。
そこで、現場ではリカバリ(復旧)という手順をあらかじめ決めておきます。
- 一度処理したデータを元に戻す(ロールバック)
- 止まった場所から再開する(リスタート)
6. 現場の必須ツール!ジョブスケジューラ
現場では、人間が一つひとつコマンドを打つのではなく、ジョブスケジューラというソフトを使って自動で動かします。有名なものに「JP1(ジェーピーワン)」などがあります。これを使うと、「Aというプログラムが終わったらBを動かす」といったリレー形式の連携が簡単にできます。
以下は、前の処理が成功したかどうかを判定して次に進むイメージのプログラムです。
IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. JOB-STEP-CONTROL.
DATA DIVISION.
WORKING-STORAGE SECTION.
01 PREV-STATUS PIC 9 VALUE 0.
PROCEDURE DIVISION.
* 前のステップの状況をチェック
IF PREV-STATUS = 0 THEN
DISPLAY "前の処理は成功です。次のステップを開始します。"
ELSE
DISPLAY "前の処理が失敗しているため、実行をスキップします。"
MOVE 12 TO RETURN-CODE
STOP RUN
END-IF.
STOP RUN.
現場の運用管理者は、このスケジューラの画面を見て、全ての「箱(ジョブ)」が緑色(正常終了)になっているのを確認して、ほっと胸をなでおろすのです。
7. 実際の保守運用で大切な「コミュニケーション」
意外かもしれませんが、現場事例で一番大切なのは報告・連絡・相談(ほうれんそう)です。システムに異常が出たとき、一人で抱え込んで勝手に直そうとすると、さらに大きなトラブルを招くことがあります。
例えば、プログラムが止まった原因が自分の勘違いだったのに、大切なデータを消してしまったら取り返しがつきません。現場では「何か変だぞ?」と思ったらすぐにチームに共有し、決められたマニュアルに従って動くことが鉄則です。技術力も大事ですが、ルールを守って正確に動く誠実さが、運用管理の世界では最も評価されるポイントです。パソコンが苦手でも、こうした丁寧な仕事ができる人は現場で非常に重宝されます。
8. 運用管理を楽にするための工夫:自動化
最近の現場では、なるべく人間が手を下さない自動化が進んでいます。例えば、エラーが起きたらAIが原因を推測してくれたり、決まったエラーなら自動で再実行したりする仕組みです。しかし、その自動化の仕組みを支えているのも、実はCOBOLのような堅実なプログラムの作り込みです。
最後に、エラーメッセージを分かりやすく出力する工夫を見てみましょう。誰が見ても状況がわかるようにするのが運用のコツです。
IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. EASY-LOG.
DATA DIVISION.
WORKING-STORAGE SECTION.
01 ERR-MSG PIC X(50).
PROCEDURE DIVISION.
MOVE "マスターファイルが見つかりません" TO ERR-MSG.
DISPLAY "【重要】エラー発生通知"
DISPLAY "原因:" ERR-MSG
DISPLAY "至急、システム担当者に連絡してください。"
STOP RUN.
このように、エラーが起きたときに「何が起きたか」を親切に表示させるだけで、夜中に呼び出された担当者の負担がぐっと減ります。こうした「優しさ」がプログラムに込められているのが、良い運用の現場と言えるでしょう。